オープニングシンポジウム 現象学にとって「異境」とは何か?
Event
「ヨーロッパ諸学」の根源的危機を暴きつつ新しい「普遍学」をめざす現象学の運動は、二つの世界大戦を経たのち、今もなお世界規模の運動体として成長し、その拡大と進化を続けている。それは、幾つもの国境、地域と地域、人と人を隔てる境界線を踏破してゆくと同時に、それらの境界線をめぐる攻防をも刻みつけている。
本研究では、その境界線上に現れる葛藤や軋みを注意深く見つめ直し、東欧、アメリカ、日本、中国、ベトナムなど、さまざまな地域における現象学、そしてそれら地域を横断する現象学をとりあげ、現象学の新たな展開を望見する。
地域的な広がりとともに、現象学は、精神医学や教育学や宗教学、さらには芸術など多様な分野に「応用」されている。本研究では、「応用」をむしろ新たな現象学の生成過程ととらえ、その可能性について考察する。またプラグマティズムや分析哲学など、異なる哲学的方法論との格闘・対話についても検討し、現象学の新たな地平を提示する。
本研究は、以上のように、能う限り広範な地域と多様な分野での「現象学」の誕生と生成過程を辿り、かつ、その成果を突き合わせながら、現象学の可能性を総合的に顕在化させることをめざす。
この7月4日のオープニング・シンポジウムを皮切りに、本研究は、向こう3年間継続し、更に未来を展望する。
第一部
池田喬(明治大学):ハイデガー・プラグマティズムの誕生―アメリカ哲学の精神と政治的風土のなかで
合田正人(明治大学):現象学における中国と日本―メルロ=ポンティ、マルディネ、レーヴィット、アンデルス
志野好伸(明治大学):現象学の儒教的展開―Daseinの訳語を通して
第二部
田口茂(北海道大学):内は外であり、外は内である―フッサール・西田・田辺
中島隆博(東京大学):デリダにおける中国/中国におけるデリダ
第三部 全体討議
日時:2015年7月4日(土)
場所:明治大学 和泉キャンパス 図書館ホール
参加自由、予約不要